ロケットを飛ばした話。 H2-8F Flight Sequence
ロケットを飛ばした話です。
はじめに
年末に、コンピュータをメインメモリを32GBに機能強化しようとしたら副次的に2TB HDDがぶち壊れる存立危機事態が発生。おのれWeste(略
2TBは数千円と引き換えに得た魔力により復元できたのですが、OSを再セットアップする羽目に。
おのれWester(略
おのれWester(略
この事案の教訓から、おせちもいいけどデータドライブ強靭化ということで、年始はRAIDを組む作業で終わりました。
そんな初厄も過ぎ去ったある日、おとそ気分で、HDDを整理していたら。
古いディレクトリの中に、隠れて、太古のファイルがいっぱい*1
ん?h2_sequence????
おたく基本動作としてreadmeを開いてみると。
readme.pdf
H2って国産液燃ロケットのH2!!?
運輸省!!!!!!??
運輸省御謹製!!!!!!
・・・・いやいや、まず運輸省て!!!!!
(ここまで3秒)(おたくは早口)
あー、たしかにタイムスタンプは1999年だ。
なんでも、MTSATの打ち上げを「できるだけ忠実に」イメージできるソフトらしいですよ、ご隠居。
頭の中をかけめぐる。無限連想ゲーム。
↓以下、思春期の葛藤。
(気象衛星と航空関係のなにかを相乗りさせてつくったやつだったきが。)
(気象庁が衛星(ひまわり)を打ち上げる予算をねん出するために、空港整備特別会計(昔はたくさんあったいわゆる公共事業の特会)のお金を引っ張ってきた感じかな。)
(同じ運輸省だし。)
ということで、整いました。
おもしろそうなので、
リフトオフ!!!!!!!
は?
ロケットは打ちあがりませんでした。
おわり
翼は夢、そして空へ。
気を取り直して、、、。
ランタイムエラーででている「d3drm.dll」を調べてみることに。
こちらの有識者の先行研究によると、d3drm.dllは大昔のDirect3Dランライム(Microsoft DirectXの一部)で、2020年の現在も、Microsoft公式で落とせるとのこと。
さっすがビルゲイツさん!
解凍して.dllファイルをぶっこぬくだけでOKらしいですよ!(念のため申し添えると完全合法です)
d3drm.dllのコピーかかれ!(指揮号令)
d3drm.dllのコピーにかかります!(応答)
d3drm.dllコピーよーし!(指差喚呼)
d3drm.dllコピーよーし!(喚呼応答)
d3drm.dllを確認し、カウントダウンののちh2_soe.exeを起動します!(具申)
了解(許可)
d3drm.dllよーし!(指差喚呼)
h2_soe.exeを起動せよ!(指揮号令)
h2_soe.exeを起動せよ!(復唱)
5
4
3
2
1
起動!
おおおおおおおおおおおお!!!!!!!
起動画面の時点でかっこよすぎる!!!!
この時点でわたしとしては大満足ですよ。元機械系学徒なのでね。ええ、ええ、ええ。*2。
ドーーーーーン!!!
道祖神か!
いや、テクスチャが完全バグってるやんけ
付属のデータディレクトリに格納された輝かしいNASDA*3のロゴが表示されるはずなんですが。。。。
そこで、信頼できる宇宙工学に精通した有識者*4からの有益な御助言。
d3drm.dllのほかに、d3dim.dllっていうやつもいるらしいです。ややこしい。
幸い、おなじDirectXランタイム内のディレクトリに存在しているらしくさっそくコピー。
あ、以下、茶番は省略です。
起動!!
ちゃんとロケットにNASDAロゴが表示されとる!!!!感動!!!!!!
さっそく飛翔体発射じゃー!*5
発射!
飛んだーーー!!!!!!
・
・
・
・
・
…………
めちゃくちゃ遅いし、地味すぎる(伝わらないのが惜しい)
地味。地味なんだけど、たのしい。
あとは右下のシーケンスがリアルタイムで進行するので待つだけです。
「できるだけ忠実に」再現されているのでもちろんリアルリアルタイムです。

約200秒でもう完全に宇宙へ。高度12km
354秒 1段エンジン分離。高度89km*7
688秒 2段エンジン第1回燃焼終了 高度94km*8
1460秒 2段エンジン第2回燃焼終了 高度97km*9
1644秒に3軸マヌーバを開始して、ここから一気に高度を上げていきます。*10、*11
1728秒 高度194.12km。MTSAT分離。
そして1860秒 高度266.73km。
MTSAT打ち上げ完了!!!!!!!!!
〇 所感
たのしい。けどめっちゃ地味。
このソフトなんなんだろう。
なんで運輸省はこんなよくわからないソフトを作ったんだろうと、運輸省職員になって思いを馳せてみたら、1999年ってまだ動画をインターネットで配信することに全く現実感がない時代だったんですよね。 ソフトの容量は7.4MiB*12と、動画を配信することを考えると、当時の環境では合理的だったんだなあと思いました。
当時インターネットは最先端でキャッチーだったでしょうしね。
そしてなにより、製作者の運輸省東京航空局常陸太田航空衛星センター""準備室”””という文字列から推察するに、国民にPRしたい相当の一大事業だったんでしょう。
つくられて21年たってますけど、ここで動かしている人いますよ!
宇宙よりも遠い場所
あ、勘のいい方は気づいているかもしれないですが。
このシミュレータが再現しているH2ロケット8号機って打ち上げ失敗してるんですよね。
当時わたしは小学生でしたが、H2ロケットの打ち上げ失敗して、しばらく国産ロケット打ち上げが中断したニュースはなんとなく覚えてますし、大学の講義の工学者倫理(だったかな。設計者の法的及び社会的責任みたいな話。)で高速増殖炉もんじゅの設計ミスと並びで失敗事例として取り上げられていた記憶があります。液化燃料供給関係の配管の設計がまずかったみたいな感じだったかな。あんまり覚えてないですけど。*13
今も、MTSAT初号機は海底のどこかに眠っているんですね。
おわり
ちなみに、このソフトはNASDAのホームページで公開されていた*14のを、過去のわたしがダウンロードしてとっておいたもの*15ですが、現在、手に入れられるのかは不明です。
また来世~
*1:データディスクは、私がはじめて買ったコンピュータの80GBハードディスクから秘伝のたれ状態でデータが引き継がれています
*2:ちなみに全画面表示の800×600ドットで、保有している4Kディスプレイに表示すると軽くバグります
*3:宇宙開発事業団です。独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身のひとつ。
*4:オタクの意
*5:sキーをおすと発射されます。
*7:特段画像上の変化はありません
*8:なんか分離する
*9:もう画面上ではロケットがどこにいるかよくわかりません
*10:特段画像上の変化はありません
*11:3軸マヌーバがなんなのかはよくわかりません
*12:それでも当時のダイアルアップとかISDN回線だとダウンロードするのに数分かかると思われる
*13:これも一因でNASDAは解体。JAXAに改組されるというアフターストーリーも。
*14:らしい
*15:と思われる(状況証拠的)
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